綾日記
ひとり暮らし


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139.  他人ごとと思いし年の訪れていつしか古希のわが命かな



140.  古希むかえ八十路まではと張りきってわが生き甲斐を菊作りせん


141.  子育てにはげみし脚は疲れはて一人のんびり古希にあゆみを


142.  婦人会老人会と籍つらね出ることたのし一人暮らしは


143.  如月の半ば過ぎれば日脚のび夕餉の支度ひとり楽しむ


144.  古希すぎて一人で暮らす母の日に婦人会仲間と若やいで


145.  ひとり居や人との語りたのしみに菊の手入間一ときを話す


146.  朝まだき目覚めて聞けるガチャガチャッと牛乳配達の新鮮な音


147.  ひとり居を慰さめするか小ねずみに毒餌あたう心ならずも


148.  毒えさを食みたる事と思いしに今宵も出でし知らぬ顔をして


149.  旅に出で帰り待つ人なけれども我を待つかや庭の菊ども


150.  旅行きはたのしかりしも帰りし夕べは暗き家にて一人淋しく


151.  老いひとり十年十年は短きがされど一年一日の長し


152.  一人居の十数年も続きては考うことの短歌身につく


153.  仲秋の今宵の月は清々し供物もなくてひとり眺むる


154.  夫逝きてあと侘びしきと歎けども知らず識らず傘寿となりぬ


155.  八十路越ゆひとり暮らしの終の日を思えば悲しわびしきかぎり


156.  菊の葉を賀状にそへる押し葉なれいつまで出来る八十路すぎれば


157.  わが人生八十年を振り返り語り話さん成人の孫たちへ

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