綾日記
弔歌


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479.  わが母の如く慕いし大奥は八十路をこえて永久のわかれに 
(金田てなさん、東善寺おばあさん)


480.  手作りのハンドバックが思い出のかたみとなりえて優しきこころ


481.  秋半ば黄ぎく白ぎくに飾られて花好きの女は永久のねむりに 
(木下妙子さん、次男の嫁の母)


482.  日頃よりおしゃれな女は死して尚眠るが如し化粧の顔は


483.  つり代さん十数年の交りは慕いしたわるるああ有難う 
(西村つり代さん、菊なかま)


484.  常日頃お洒落な女の永久の旅ねむるが如くやるらかな顔


485.  みちのくの嫁の母親斃れしと訃報のありて悲しみ深し 
(奥山文子さん、長男の嫁の母)


486.  遠地にて会うこと稀な女なりし福ふくがほのやさしさ偲ぶ


487.  思い出は米子医大の出会いなれ浦栃さんのおもかげ偲ぶ


488.  心快く並らび写せるツルエさんやさしき顔は松葉杖の女


489.  小学校の幼友だち古希待たず癌にて斃る思い出残し


490.  杳き日の小学生のなつかしく糸をたぐればおぼろに浮かぶ


491.  ふるさとの東善寺での黄泉の旅めぐり会いては懐しかるらん


492.  菩提寺で八十路の友と語るらん久しぶりだなあと二十年ぶりに


493.  しげさんはやさし娘だと聞きいたり語り合うらん黄泉の旅路で (渡辺しげさん、館山市山萩)


494.  思い出の山萩の里亡き夫は偲びいるらん五十年振りに


495.  亡き夫に弔辞賜りし元一さんあとを追うがに黄泉の旅路に


496.  あれこれと慰めくれし弔辞なれ巻紙
(まきし)の長文語り合うらん


497.  木島さん真面目の上にきの字つけ町内会に尽くせしあしあと


498.  若桜より移り住みにし木島さん賀露の寺にて黄泉の旅路に


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