綾日記
幼孫たち


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116.  鳥取で生れし孫の初詣り賀露(かろ)大神の氏子となりて

117.  おごそかな神殿前の新生児まなこ開きて太鼓音聞く

118.  幼な児を湯あみさすれば重たくて老いの手一杯に両耳ふさぐ

119.  ふろ好きの孫の顔みて湯あみさす老いの額に汗の数滴

120.  湯かげんは湯舟に浮かぶ温度計ぬるま湯なれど孫にぞ合わす

121.  日に日にと育つ愛し児の笑顔見て嫁と喜こぶ母乳の幸を

122.  ふるさとで生まれし孫の初節句七段飾りは賑々しくて

123.  久かたに部屋一杯に飾りたる桃の節句や二十年ぶりに

124.  雛壇の菱餅重ねの三色は蝋塗りよりも海苔のみどりを

125.  菊よりも孫可愛さに大阪で孫の看病で長居となりぬ

126.  幼孫の点滴針の痛み見て治療のためとはいたいたしくて

127.  幼孫の程よき加減の肩たたき十を数えておしまいと言う

128.  肩たたき上手と褒めれば幼孫はとんとんとんと調子あわせる

129.  孫むすめふるさとでの餅つきにエプロンつけて手つだう様よ

130.  一才の幼孫までが揉み板の粉まぜかえす餅つきさわぎ



131.  大阪で留守番役は夕刊の配達がたのしみの一つ

132.  夕刊は四時には届きゆっくりと小説も読みて孫のかえり待つ

133.  ピカピカの新一年生の孫むすめ赤いランドセル重そうな姿

134.  蚕豆を大阪の孫に見せたれば皮をむきむきよろこびの顔

135.  そら豆はふとんの中と教えれば数かぞえてはもっとないかと

136.  枇杷の実の葉色にまぎれ気付かぬに色つき始めて鈴なりを見る

137.  陽なた向き先に熟れゆくびわの実の熟さぬ侭に子等の眼につく

138.  色付きし枇杷の実いつか失せるなり二つ三つと枝ごと折られ
(大阪の家にて)


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