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88. 大晦日除夜の鐘ごろベルがなる事故の知らせにひとり身ふるう
(昭和56年12月31日)
89. 大みそか事故の知らせに動転す電話の声にしどろもどろに
90. み佛の救いなるらん有難く生きの顔みて胸なでおろす
91. 病室で越中富山のとやま弁聞くともなしに判じかね聞く
92. 廊下での人の気配にドア見れど来る筈も無し遠くの地では
93. 生ける身の避け得られえぬ運命(さだめ)なれ命ありしが何よりの救い
94. 手術する息子見送り頑張れと口には出せず眼で祈るなり
95. 見ゆるのは空ばかりなる雪景色七階の窓よりしみじみ眺む
96. 七階の窓より見ゆる鉛色下へ下へと雪の舞い降る
97. 窓際で日射しを受けて牛乳びんの水仙一輪あわれに思わる
98. スキー等もうやめるよう願いしが嘘言えないと主治医の言葉
99. 滑りても良しとの言葉かへすなら元の体になれたよろこび
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